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Japanische Klassiker mit Furigana

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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme

Aozora Bunko

しかしもう窓は明けていた。明け方の光が微かに、血のなかの海藻にも似る黒髪と、白蝋のような死者の顔とを、無常迅速のことば通り、冷ややかに照らし出している。

「……だんなえ。今、どすんといったのは、なんの音ですかえ。夜が明けてまで、痴話喧嘩のつづきじゃしようがありませんね」

「婆か。……み、みてくれ。みろそこを」

「なんですの。まあ、らちゃくちゃない」

「……ついに、堪忍ぶくろの緒を切って、おまえの娘を殺してしまった」

「ごじょうだんでしょ、だんな。えんぎでもない」

「ほんとだ。……下手人のわし自身でも信じられん。だが、やってしまった。人間とは、あてにならないものだなあ。ああ、日頃の知識などは役にも立たんものだなア。おれも田夫野人と何ら変るところのない物騒な人間だった」

「いやですよう、だんな。そんな妙な科白を、恐い顔して仰っしゃってちゃあ」

「それ、婆。おまえのいる、そこの寝台の後ろの蔭だ。それが婆惜だ」

「ひぇッ……」と、婆は腰を抜かしかけた。がたがたと、骨ぶるいして、急に歯の根も合わぬらしい。

「……ど、ど、どうぞだんな。この婆は、おたすけなすってくださいまし。ま、まったく、むすめが、わるかったのでございますで……。