Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
そして、そのまま異様なまでに、彼のらんらんたる双眸は、次第に雨雲のような掻き曇りを見せ、あわや、この不敵無双な男が、いまにも泣き出すかと思われるばかりに顔のすじをひッつらせた。
「……おおほ! ……おうっ。あ、あなたは」
「武二郎か。……」
その人の弾んだ声は、半ばで切れて、あとは声高に、兄弟の者へ、さいそくしていた。
「すぐ縄を解いてやってくれ、心からいたわってやってくれ。これは私の弟分だ」
「げっ。先生の弟分でございますって」
「されば、この辺へも、お尋ね書が廻っていたからご存知だろうが打虎武松だ。景陽岡で猛虎をなぐり殺したあの男さ」
驚いたのは、兄弟の者であるが、この兄弟とて、ただの山家地主の息子とも見えず、ましてここの一書院に閑居しながら、いまや世間に身もおくところなき行者武松をよく知って、わが弟分と呼ぶこの客こそは、一体いかなる素姓の人であったのだろうか。
緑林の徒も真人は啖わぬ事。
ならびに、危なかった女轎のこと
めったに自分を見限るなかれ、である。寸前の運命が分らないのと同様に、寸後の転換だってまた測り知れないことは往々といっていい。
今夜の武松がそれだった。