Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme

Aozora Bunko

背に老母を負い、星影青い夜を衝いて、またたくまに、隣県との山ざかい、沂嶺のいただきへかかっていた。

「せがれや。……せがれよ」

「どうした? おっかあ」

「く、くるしい。もう、そう馳けんでくれい」

「おう、わるかったな。おれでさえヘトヘトだもの。だが山向うへ越えれば人家もある。人里へ出たら、美味い飯やら汁もたんと食わせて上げるでな」

「水がのみたい。……せがれや、のどが渇いて渇いて。飯よりは、水がほしいだ、水をよ」

「水か」

彼もまた、火みたいに、喉の渇びを覚えていたところである。さっそく大きな平たい青石の上へ、背の老母を下ろして言った。

「おっ母あ、ちょっくら谷へ降りて、竹筒へ水を汲んでくるが、ここから一歩も這い出しなさんなよ。目の見えねえおっかあを、独りぼッちでおいとくのは心配だが、いいかね」

「ああいいよ。……李逵や、ちょっとおまえの手を握らせておくれよ」

「なんだい、あらたまって」

「どうして、わりゃあ、そんな優しい子になったんだか。わしゃ、うれしゅうて」

「よせやい、おっかあ。人が見てねえからいいけれど、こんな不出来な伜の手を取って拝むやつがあるものか。……泣くなんて、縁起でもねえ。