Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
朱富は酒店の一亭主だが、稼業柄、日常よく人間に接して、世間や人間の機微本質によく通じているせいか、どうして、なかなかな才気だった。彼が朱貴へささやいた窮余の一策とは、果たしてどんな計略であったかは後として、とにかく、店を閉めたその晩の遅くから人知れぬまに、ここでは俄な夜逃げ支度が始まっている。
すなわち、店の若い者を督して、朱富は、自分の女房や子供らを一台の箱馬車に乗せ、また家財手廻り一切を、その馬車や手押し車に積みこんで、夜の明けぬまに、町端れの森の辻まで送り出していた。
こうして、翌日となるや、飲屋の店はまた、平日通りに店を開け、入口を掃き清めて、西門外の賑わいの中に、さりげないお愛相ぶりを一ばい明るく、午下がりの陽ざしを待ちすましていたのである。隣り近所、多少、変な物音も明け方に知ってはいたが、まさか、梁山泊への引っ越しとは、だれも気づいてはいなかった。
「黒旋風が捕まったとよ」
「うそをつけ、沂嶺の虎の間違いだろう」
「うんにゃ、四匹の虎を退治したあげく、こんどは自分が虎になって、あの因業旦那の曹に密告され、たったいま、県役署へ曳かれて行った」