Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
せっかく、町の衆に代って、およろこびのため、あれに朝から冷やしておいた酒瓶を、もう口まで切って、お待ち申しておりましたので」
「せっかくだが、役儀柄、その志もいまは困る。帰りに寄ろう。さあ、歩け歩け」
李雲は列を振向いたが、意地の汚い兵や獄卒たちは、酒の匂いに吹きくるまれて、もうテコでも動きたがらない。のみならず、店の若い者に唆されたか、一端の列をくずして、物蔭に隠れ、素早いとこをと、酒の碗をあばき合っている一ト群れさえある。
「ち……。しようのねえ奴どもだな」
李雲もついに馬を降りた。このまま行き過ぎては一部の兵へは不公平になる。飲み食いの恨みでは、あとあと、いつまで深刻な根をもって、意趣を上役にふくむなどの例は決して少なくない。そのためには、李雲もまた彼らとともに、飲んでやらねばならなかった。
「いかがです、先生、もうお一杯」
特に、彼への杯には、朱富自身が、酌をしていた。――ほか数十人の兵ときては、酌の面倒や愛相はいらない。蜜へたかった蠅のような黒さである。一杯でもよけいに飲もうと、仲間喧嘩さえ起りかねない噪ぎであった。
すると、その間、路傍の槐の木に縛りつけられていた李逵が、悲しげな声で叫んだ。