Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
まずは大人しく引き退がろうかい」
元々、気らくな流浪三界の身、すぐ荷物を取りまとめ、店の現金、出入り帳、きれいに揃えて、潘爺さんの隠居所へ抛り込み、朝飯も食わずにぽいと飛び出した。そしてそのまま薊州の地を去ろうとしたが、
「いや、待てよ」
彼は町端れの木賃宿に泊りをとって、その日一日考えた。
性来の淫婦といっても、ひと通りな巧雲ではない。かつは情夫の裴如海がしたたか者。わるくしたら行くすえ邪魔者の楊雄に一服毒を盛らないものでもない。そんなことにいたらないまでも外聞がある。楊雄の面目はまるつぶれだ。薊州の男が一匹すたる。
「一宿一飯の恩はさておき、かりにも、いちどは義を結んだ兄弟を」
彼は思い直した。一思案に向ったのだ。楊雄が宿直の日はわかっている。――その晩、丑満ごろに木賃宿を出て、五更の前から以前住んでいた袋路次の角にひそんで期すものを待ちかまえていた。とも知らず、例の乞食頭陀が、やがて木魚を叩きながら、路次口へ入りかけて行く様子。しめたとばかり――いきなり跳びかかって「やいッ、声を出すな」と頭陀の襟元を引っつかんだ。
「いるんだろうナ。ゆうべから」