Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんばし

日本橋

泉 鏡花

Lesen Sie 日本橋 (にほんばし) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.697 Zeichen · 177 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「見えるも見えないも、葛木さん、御挨拶なんて要るものですか。」

「きっとそう云うだろうと思った。勿論、たかだか更めて、口で云う礼ぐらい。」

「かえって迷惑。」

「御迷惑。」と口も足も、学士は蹴躓いたようであった。

お孝は澄まして、

「ええ、真平。」

「それじゃ時節を待って下さい。」

「可厭です。」

学士は決然たる態度で、ちょっと帽を取って、

「名は忘れませんよ、いずれ。」と二ツ三ツ塵をはじきながら、附穂なく線路を斜めに、見えない電車に追わるるごとく。

と顧みて、そこで、ト被直して、杖をついた処、お孝は二つばかり、カラカラと吾妻下駄を踏鳴らした。

「ただ別れるの。……不意気だねえ、――一石橋の朧夜に、」

四辺を見つつ袖を合せた、――雲を漏れたる洗髪。

「女と二人逢いながら、すたすた(かねやす。)の向うまで、江戸を離れる男ッてのがお前さん江戸にありますか。人目にそうは見えないでも、花のような微酔で、ここに一本咲いたのは、稲葉家のお孝ですよ。清葉さんとは違いますわ。」

「違うから、それだから、」

学士は、つかつかと引返して、

「なおの事、忙しくって、逢ってはくれまいと言うんじゃないか。