Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんばし
日本橋
泉 鏡花
Lesen Sie 日本橋 (にほんばし) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.697 Zeichen · 177 Bildschirme
梅ヶ枝の手水鉢
三十五
飯は済んだ、と云うのは、上野から電車で此地へ来る前に、朋達三人で、あの辺の西洋料理で夕飯を食べた。そこで飲んでね、もう大分酔っていたんです。可訝くふらふらするくらい。その勢で、かッとなる目の颯と赤い中へ、稲妻と見たサの字なんだ。
考えれば、千鳥の知らせでもなく、恋の神のおつげでもない。酒のサの字だったかも知れないものを。……その酒さえ、弱身のある人が来て対向いになると、臆面の無いほてった顔を、一皮剥かれるように醒めるんだからの。お察しものです。」
カチリと力無く猪口を置く。
梅ヶ枝の手水鉢
三十五
「座敷へ入ると間も無くさ、びりびり硝子戸なんざ叩破りそうな勢、がらん、どん、どたどたと豪い騒ぎで、芸者交りに四五人の同勢が、鼻唄やら、高笑。喚くのが混多になってね。上り込むと、これが狭い廊下を一つ置いた隣座敷へ陣取って、危いわ、と女の声。どたんと襖に打つかる音。どしん、と寝転ぶ音。――楠の正成がーと梅ヶ枝の手水鉢で唄い出す。
座敷を取替えて上げよう、こっちは一人だから。……第一寄進に着いた電燈に対してもお鹿の女房が辞退するのを、遠慮は要らない、で直ぐに、あの、前刻のあれ、雛の栄螺と蛤の新聞包みを振下げて出た。