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Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんばし

日本橋

泉 鏡花

Lesen Sie 日本橋 (にほんばし) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.697 Zeichen · 177 Bildschirme

Aozora Bunko

柳に銀の舞扇

十三

柳に銀の舞扇

十三

鐘さえ霞む日は闌に、眉を掠める雲は無いが、薄りとある陽炎が、ちらりと幻を淡く染めると、露地を入りかけた清葉は、風説の吾妻下駄と、擦違うように悚然とした。

清葉は実際、途中でも、座敷でも、廊下でも、茶屋の二階の上り下り、箱部屋などでも、ちょうど、袖袂の往通いに、生きていた頃の幽霊と、擦違って知ったのであるから。――

ここまで引添ったお千世は、家の首尾を見る為か、あるじもうけの心附けか、ものも言わないで、一足前へ、袖を振って駆出した。格子の音はカラカラと高く奥から響いたけれども、幸に吾妻下駄の音ではなくて、色気も忘れて踏鳴らす台所穿の大な跫音。それさえ頼母しい気がするまで、溝板を辿れば斧の柄の朽ちるばかり、漫に露地が寂しいのである。

並んで四軒、稲葉家の隣家は目下空家で、あとの二軒も、珍しく芸者家ではない。

片側の待合のその羽目に、薄墨でぼかしたように、ふらふらと、一所に歩行いて附いて来る影法師。

清葉は例の包ましやかに、色傘を翳していた。その影と分れたが、フト気になるので、そこで窄めて、逆上るばかりの日射を除けつつ、袖屏風するごとく、怪いと見た羽目の方へ、袱紗づつみを頬にかざして、徐に通る褄はずれ、末濃に藤の咲くかと見えつつ。