Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.773 Zeichen · 294 Bildschirme
先生たちのうちに、誰ひとり君を弁護する者がなかった時でも、校長だけは、頑として君の退学処分を承知されなかったんだ。あんな生徒であればこそ見放してしまってはかわいそうだ、と言われてね。校長のその気持が少しでもわかったら、自分がもっと真面目になるのはむろんのこと、下級生にだってもう少しは人間らしい接し方がありそうなものだ。君は、元来、それほどのわからずやでもないはずだがね。」
朝倉先生の言葉は、切々として、はたで聞いている次郎の胸にも、深くしみていった。
「じゃあもういい。もう間もなく午後の時間だ。二人とも、これを縁に仲よくせい。それも大慈悲の一つのあらわれだ。……それから、今日のことはほかの生徒には秘密だぞ。喋ったって誰の名誉にもならん。」
朝倉先生が立ち上ると、二人も立上った。そしていっしょに銃器庫の角をまがりかけたが、朝倉先生は思い出したように、
「おお、そうだ。本田にはまだ言うことがあった。本田は今度の時間は何だ。」
「剣道です。」
「じゃ道場の方にいっしょに歩きながら話そう。教室にはもう用はないかね。」
「竹刀をとって来ます。」
次郎は走って自分の教室に入り、机の上に放ってあった弁当がらを始末して、すぐ朝倉先生のあとを追った。