Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうそうやわ
法窓夜話
穂積 陳重
Lesen Sie 法窓夜話 (ほうそうやわ) von 穂積 陳重 (ほづみのぶしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.325 Zeichen · 264 Bildschirme
クリトーンは、裁判の不正なること、刑罰の不当なることを説いて、師がかく生命を保ち得られる際に、自ら好んで身を死地に投じてこれを放棄せられるのは、むしろ悪事を敢えてなさんとせられるものであって、今甘んじてこの刑に就くのは、これ即ち敵人の奸計に党するものであるといわねばならぬと述べ、またこの際、妻や子供らを見捨てるのは、師が平素から、子供を教養することの出来ない者は子を設けてはならぬと言われておった垂訓にも悖るものであり、またこの容易にして且つ危険のない脱獄を試みないのは、畢竟、善にして勇なる所業をなさないものであるから、平生徳義の貴ぶべきことを唱導せられた師としては、甚だ不似合なことで、自分は、師のためにも、はたまたその友たるクリトーン自身のためにも、慚愧の念に堪えざる次第であると説き、なおその辞をつづけて、
サア、どうぞこの処を能く能く御考え下さいまし。否もう御熟考の時は已に過ぎ去っております。――私どもは決心せねばなりませぬ。――今の場合、私どものなすべきことはただ一つだけ、――しかも、それを今夜中に決行せねばなりませぬ。――もしこの機会を外したなら、それは、とても取り返しが附きませぬ。