Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
新しい頭と純朴な心を持っている青年諸君の役目だ。もともとこの関東地方の人間は徳川の温和的な圧制に慣らされて堕落し、それが二百余年の遺伝の結果は謙遜や忍耐をとおりこして畏怖となり卑屈となって封建性が依然たる有様だ。それのみでない。かつて徳川が威勢をふるって国家を操縦した当時は薩長土肥などの有力な諸藩もみな涙をのんで服従していたが、今や薩長が国家の大勢を握って二十余年、過去積年の圧迫に対する仇討というわけで、わが関東や東北を辱めるに努めてきた。特に徳川に近いものを憎み、関東を賤しんで、わが関東をみること恰も庭園の家畜のごとくである。ために二百余年の封建的な余弊がますます甚だしくなって、悲しいかなわが関東人はまったく自主自由を失い、無気力無精神になってしまった。権門にへつらい奴隷となって自ら恥じない習慣までできてしまった。関東をこの堕落から救いだし、関東の気力を取りもどすのは、やはりわれわれ関東人の力以外にはない……」
座敷のうちにも夕靄がしのびこんで、人々の顔も見わけがたくなり、ただ眼の光だけが点々と宙にすわっていた。外面の雨はやんだらしく、裏の杉林で三四羽の鴉が暮色をせきたてるように啼くのがきこえた。