Japanische Klassiker mit Furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Lesen Sie 渡良瀬川 (わたらせがわ) von 大鹿 卓 (おおしかたく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 280.528 Zeichen · 557 Bildschirme
いかさまそれだけでもない。ずいぶん台所にでて自らも米も濯ぎまた味噌もすってみ、薪も折ってみたくらいの艱難辛苦は二人とも経験があるからして、普通のペコペコ役人とはちがう。まったくちがうには違いないが、二人とも山へ入って自ら薪は採って来ておらぬ、米は作っておらぬ。そこへゆくと彼の木戸や西郷になると自ら山へ入り田へも出ている。ところが今日の政治家も学者もそこまでの真味を知らぬから、なんでもむやみと砂糖をぶちこんで人の口を甘やかし、人が喜びさえすればそれでよいという主義を採ってきた。お蔭で日本はめちゃくちゃ主義になっている。支離滅裂、暗黒社会になりかかっている」
「しかし先生」感服して聴いていた山田が言葉を挟んだ。
「日本はいま連戦連勝、この勢で押しすすめば、敵に城下のちかいを立てさせることもできます。日本の前途は洋々たるものだと思いますが……」
「君のいう通りで戦場からの快報で国民は有頂天だ。しかし、だからこそわしは戦勝って凱歌を奏すあかつきのことを心配するのだ。現在こそ国民の心が外敵にむいて一致しているが、また形の上では国に力がついて来ているが、精神の上立憲では昨日までのめちゃくちゃ主義のために蠱まれているから、これを反省せずに凱歌をあげた結果は上も下も高慢になり不遜になって、かえって国の維持が覚束ないことになる