Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme
ぶきみな、雪踏の音に、引きずられるように、ついて行った。
「おや?」
と、見ているまに、羅門は、小料理屋の暖簾口を割って、
「ゆるせ」
と、はいってしまった。
すぐ、女が出て来て、外でまごまごしている二人を連れこんだ。
「飲むがいい。喧嘩よりは、酒の方が、うまかろう」
塔十郎は、鷹揚にいって、充分に飲ませた上、ぼつぼつ、本題にはいりだした。
「お尋ね者の郁次郎が、この辺に、徘徊しておったということだが、人違いではあるまいな」
「へい、たしかに、宿触れの人相書ともぴったりでございます」
繁は、しゃべりだしたが、自分の家に一晩泊ったということは、関り合いを惧れて、いわなかった。
「行く先は、こいつが、よく存じております、へい」
と、安の顔を指さした。
羅門は、黙って、小判を一枚ずつ、二人のまえへ投げた。
「こりゃ、お上で下さる密訴の褒美よりは少し多いが、取っておくがいい。――で、安とやら、その駕は、何処へやったか」
「江の島の、江之島神社でございます」
安も、小判の前には、すぐ泥を吐いてしまった。
二人を帰すと、羅門は、その晩、江戸へ帰る予定を更えて、急に、手紙を書いて江戸表へ早飛脚を立たせ、べつに、宿をとって、翌日、江の島へ引っ返した。