Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme
「こらっ、起きないかッ」
肩に足をかけて、ぐりぐりと小突くと、男は、けろりと見上げて、東儀与力と同じように、拷問道具へ腰を下ろした。
――蟇のように口をむすんでいる。
まったく不解な男だ。古沼からひきずり出した山椒の魚の化け物みたいな人間だ。神経の反射とか、感覚とかいうものがまるでない。
(この野郎、拙者を呑んでかかっているな。面白い、唖にもなれ、聾にも化けろ、おれも南町奉行所に彼ありといわれた東儀三郎兵衛だぞ)
肚にたたみながら、しばらく、睨みくらべの形である。
「これ、町人。貴様は手足の皮があつい所を見ると、田舎者に相違ないが、どこの国の者だ。黒焼売りか、百姓か」
「…………」
蟇然とした口は、相変らず、への字のままである。
「ゆうべの鎧櫃には、何がはいっていたか、知っているだろうな」
男は、眼と鼻をクシャクシャと歪めて、両方の腕を天井へ上げた。喉仏の見えるような大きな口から、欠伸が出た。
東儀与力は、じりじりする忿怒を抑えて、
「おい大将、唖聾のまねなんざあもう古手だぞ。この石倉の中の道具は何に使用するものか知ってるだろう。そんな無駄な世話を焼かすもんじゃない。