Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

これやどうも、迂闊に手出しをすることもならなくなったわい」

と、足さえも重く、捗らなくなってしまった。

羅門塔十郎も同じように吐息をついて、

「この事件は、局外からちょっと観ると、至って簡単なように察しられるが、さて、手を着けて一歩はいって見ると、古沼へ足を踏み入れるようで底の知れない秘密がありそうだ。所詮この塔十郎の如き不才の者の及ぶところではないし、また、最も疑わしい人間が江漢先生の子息となると、私情としても、手を下すには忍びぬことだ。……頼まれ甲斐もないようだが、願わくば、拙者もこの辺で手を引きたいものです」

と、匙を投げてしまった。

東儀は驚いて、縋らんばかりに、

「今、貴公に手を引かれては当惑至極じゃ。そんな事を仰せられずに、何とか一つ、打開策はござるまいか」

「拙者に一つの案がないではないが……」

「それは?」

「さ、それも上方流の詮議法ですからな。世上にはすぐに、羅門がやったな、という事が知れる」

「知れてはお差支えになるのでござるか」

「大先輩たる江漢先生のお耳にはいれば、決して、お快くは思われますまい」

「何、そんなご斟酌がいりましょうや。ま、そのご名案をお聞かせ下さい」