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Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

けれど同様な組為替は、同一人から同じ長崎表から、二枚送られていることがその晩の帳簿で知れた。そして、一枚の方が金額が多く、その額面三百両の金は、つい昨日のこと、若いお屋敷風の頭巾の女が受け取りにきて、封金で三ツ、受取って行ったというのであった。

若いお屋敷風の女と聞くと、東儀は、習性のように、拷問倉の窓からのぞいたあの白い顔と、花世の名を思い出すのだった。

佐渡平の店へ金を取りに来た妙齢の女についても、店の者たちにつぶさに糺すと、やはり、その二つを出ない輪廓なのである。いや、気のせいか、それも花世らしいのである。

「何か、これという、たしかな特徴がその女になかったか」

と、訊ねると、若い手代が、隅から答えた。

「私の目に、はっきり残っていることがございます」

「ウム、申してみい」

「雪のように、白い、襟あしの奥に、お金をかぞえる時、ちらと、かなり大きな黒子があったように覚えております」

「襟あしの奥に」

「へい、俯向かなければ見えません」

「ほかには」

「さあ?」と、店の者たちは、羞恥み笑いを見合して――「何しろ、余りご縹緻がよいので、それにばかり、気を奪られておりましたんで……へい、正直、左様なわけで、ついどうも……」