Japanische Klassiker mit Furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme
家の入り口には、肌襦袢や腰巻や浴衣が物干竿に干しつらねてある。郁治は清三とつれだって行った。
美穂子は白絣を着ていた。帯は白茶と鶯茶の腹合わせをしていた。顔は少し肥えて、頬のあたりがふっくりと肉づいた。髪は例の庇髪に結って、白いリボンがよく似合った。
ビールの空罎に入れられた麦湯が古い井字形の井戸に細い綱でつるして冷やされてあった。井戸側には大きな葉の草がゴチャゴチャ生えている。流しには菖蒲、萱などが一面にしげって、釣瓶の水をこぼすたびにしぶきがそれにかかる。二三日前までは老母が夕べごとにそこに出て、米かし桶の白い水を流すのがつねであったが、娘が帰って来てからは、その色白の顔がいつもはっきりと薄暮の空気に見えるようになった。そのころには奥で父親の謡がいつも聞こえた。
美穂子は細い綱をスルスルとたぐった。ビールの罎がやがて手に来る。結わえた綱を解いて、それを勝手へ持って来て、土瓶に移して、コップ三つと、砂糖を入れた硝子器とを盆にのせて、兄の話している座敷へ持って行く。
「なんにも、ご馳走はございませんけど、……これは一日井戸につけておいたんですから、お砂糖でも入れて召し上がって……」