Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いなかきょうし

田舎教師 他一編

田山 花袋

Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme

Aozora Bunko

八

「もう寝よう」と思って、起き上がって、暗い洋燈を手にして、父母の寝ている夜着のすそのところを通って、厠に行った。手を洗おうとして雨戸を一枚あけると、縁側に置いた洋燈がくっきりと闇を照らして、ぬれた南天の葉に雨の降りかかるのが光って見えた。

障子を閉てる音に母親が眼を覚まして、

「清三かえ?」

「ああ」

「まだ寝ずにいるのかえ」

「今、寝るところなんだ」

「早くお寝よ……明日が眠いよ」と言って、寝返りをして、

「もう何時だえ」

「二時が今鳴った」

「二時……もう夜が明けてしまうじゃないか、お寝よ」

「ああ」

で、蒲団の中にはいって、洋燈をフッと吹き消した。

八

翌日、午後一時ごろ、白縞の袴を着けて、借りて来た足駄を下げた清三と、なかばはげた、新紬の古ぼけた縞の羽織を着た父親とは、行田の町はずれをつれ立って歩いて行った。雨あがりの空はやや曇って、時々思い出したように薄い日影がさした。町と村との境をかぎった川には、葦や藺や白楊がもう青々と芽を出していたが、家鴨が五六羽ギャアギャア鳴いて、番傘と蛇の目傘とがその岸に並べて干されてあった。町に買い物に来た近所の百姓は腰をかけてしきりに饂飩を食っていた。