Japanische Klassiker mit Furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme
こい空気の中に浮くように見える。土手の草むらの中にはキリギリスが鳴いていた。
土手にはところどころ松原があったり渡船小屋があったり楢林があったり藁葺の百姓家が見えたりした。渡し船にはここらによく見る機回りの車が二台、自転車が一個、蝙蝠傘が二個、商人らしい四十ぐらいの男はまぶしそうに夕日に手をかざしていた。船の通る少し下流に一ところ浅瀬があって、キラキラと美しくきらめきわたった。
路は長かった。川の上にむらがる雲の姿の変わるたびに、水脈のゆるやかに曲がるたびに、川の感じがつねに変わった。夕日はしだいに低く、水の色はだんだん納戸色になり、空気は身にしみわたるようにこい深い影を帯びてきた。清三は自己の影の長く草の上にひくのを見ながら時々みずからかえりみたり、みずからののしったりした。立ちどまって堕落した心の状態を叱してもみた。行田の家のこと、東京の友のことを考えた。そうかと思うと、懐から汗によごれた財布を出して、半月分の月給がはいっているのを確かめてにっこりした。二円あればたくさんだということはかねてから小耳にはさんで聞いている。青陽楼というのが中田では一番大きな家だ。