Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いなかきょうし

田舎教師 他一編

田山 花袋

Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme

Aozora Bunko

三十三

「そうか――羽生には寄らなかったもんだから」

こう言ってかれは羽織をぬいだ。

三十三

次の土曜日にも出かけた。その日も荻生さんはたずねて来たがやっぱり不在だった。行田の母親からも用事があるから来いとたびたび言って来る。けれど顔を見せぬので、父親は加須まで来たついでにわざわざ寄ってみた。べつだん変わったところもなかった。このごろは日課点の調べで忙しいと言った。先月は少し書籍を買ったものだから送るものを送られなかったという申しわけをして、机の上にある書籍を出して父親に見せた。父親はさる出入り先から売却を頼まれたという文晁筆の山水を長押にかけて、「どうも少し怪しいところがあるんじゃが……まアまアこのくらいならとにかく納まる品物だから」などとのんきに眺めていた。母親の手紙では、家計が非常に困っているような様子であったが、父親にはそんなふうも見えなかった。帰りに、五十銭貸せと言ったが、清三の財布には六十銭しかなかった。月末まで湯銭くらいなくては困ると言うので、二十銭だけ残して、あとをすっかり持たせてやった。父親は包みを背負って、なかばはげた頭を夕日に照らされながら、学校の門を出て行った。