Japanische Klassiker mit Furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme
一人で室にいる時も口癖に唱歌の譜が出た。この間、女の室で酒に酔って、「響りんりん」を歌ったことが思い出された。女は黙ってしみじみと聞いていた。やがて「琵琶歌ですか、それは」と言った。信濃の詩人が若々しい悲哀を歌った詩は、青年の群れの集まった席で歌われたり、さびしい一人の散歩の野に歌われたり、無邪気な子供らの前でオルガンに合わせて歌われたり、そうした女のいる狭い一室で歌われたりした。清三はその時女にその詩の意味を解いて聞かせて、ふたたび声を低くして誦した。二人の間にそれがあるかすかなしかし力ある愛情を起こす動機となったことを清三は思い起こした。
弥勒野にふたたび秋が来た。前の竹藪を通して淋しい日影がさした。教員室の硝子窓を小使が終日かかって掃除すると、いっそう空気が新しくこまやかになったような気がした。刈り稲を積んだ車が晴れた野の道に音を立てて通った。
東京に行った友だちからは、それでも月に五六たび音信があった。学窓から故山の秋を慕った歌なども来た。夕暮れには、赤い夕焼けの雲を望んで、弥勒の野に静かに幼な児を伴侶としているさびしき、友の心を思うと書いてあった。