Japanische Klassiker mit Furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme
弥勒野から都を望む心はいっそう切であった。学窓から見た夕焼けの雲と町に連なるあきらかな夜の灯がいっそう恋しいとかれは返事をしてやった。
羽生の野や、行田への街道や、熊谷の町の新蕎麦に昨年の秋を送ったかれは、今年は弥勒野から利根川の河岸の路に秋のしずかさを味わった。羽生の寺の本堂の裏から見た秩父連山や、浅間嶽の噴煙や赤城榛名の翠色にはまったく遠ざかって、利根川の土手の上から見える日光を盟主とした両毛の連山に夕日の当たるさまを見て暮らした。
ある日、荻生さんが来た。明日が土曜日であった。
「君、少し金を持っていないだろうか」
荻生さんは三円ばかり持っていた。
「気の毒だけども、家のほうに少しいることがあって、翌日行くのにぜひ持って行かなけりゃならないんだが……月給はまだ当分おりまいし、困ってるんだが、どうだろう、少しつごうしてもらうわけにはいかないだろうか。月給がおりると、すぐ返すけれど」
荻生さんはちょっと困ったが、
「いくらいるんです?」
「三円ばかり」
「僕はちょうどここに三円しか持っていないんですが、少しいることもあるんだが……」
「それじゃ二円でもいい」