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Japanische Klassiker mit Furigana

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いなかきょうし

田舎教師 他一編

田山 花袋

Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme

Aozora Bunko

清三は黙ってしまった。貧しい自分の家のことがいまさらに頭脳にくり返される。父親の働きのないことがはがゆいようにも思われるが、いっぽうにはまた、好人物で、善人で、人にだまされやすい弱い鈍い性質を持っていながら、贋物の書画を人にはめることを職業にしているということにはなはだしく不快を感じた。正直なかれの心には、父親の職業は人間のすべき正業ではないようにつねに考えられているのである。

だまされさえしなければ、今でも相応な呉服屋の店を持っていられたのである。こう思うと、何も知らぬ母親に対する同情とともに、正業でない職業とはいいながら、こうした雨の降る日に、わずか五十銭か一円の銭で、一里もあるところに出かけて行く老いた父親を気の毒に思った。

やがて鉄瓶がチンチン音を立て始めた。

母親は古い茶箪笥から茶のはいった罐と急須とを取った。茶はもう粉になっていた。火鉢の抽斗しの紙袋には塩煎餅が二枚しか残っていなかった。

清三は夕暮れ近くまで、母親の裁縫するかたわらの暗い窓の下で、熊谷にいる同窓の友に手紙を書いたり、新聞を読んだりしていた。友の手紙には恋のことやら詩のことやら明星派の歌のことやら我ながら若々しいと思うようなことを罫紙に二枚も三枚も書いた。