Japanische Klassiker mit Furigana
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わたしのこうりしょうどう
私の小売商道
相馬 愛蔵
Lesen Sie 私の小売商道 (わたしのこうりしょうどう) von 相馬 愛蔵 (そうまあいぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.396 Zeichen · 312 Bildschirme
食料品に至ってはことに甚だしい。参考材料になるようなものは一つもない。かくも地方の不振を招いたのはいったい何であるか。地方経済の不振ということもあろうが、その主な原因はやはり時勢に応じて進む研究心と努力の不足であると言わねばならない。例えば上州前橋の片原饅頭である。三十年前までは片原町全町を挙げて饅頭屋であった、片原町に行って見ると朝早くから軒並に湯気を立てていて実に見ものであった。前橋はいうに及ばず高崎でも、旅館はみなこの片原饅頭を土産に出すので、全国的にその名を知られていたものであるが、現在ではたった一軒その名残りをとどめているにすぎない。
ある時群馬県知事の某氏が私を訪ねて来られたので、私はこの片原饅頭のことをいうと話だけは聞いているが、「どうして駄目になったのでしょう」とかえって理由を聞かれたようなことであった。いったい利根川べりの砂地に出来た小麦というものは日本一の優種で他に及ぶものがなく、江戸でも京都でも最上級の麦粉としてもてはやされたものである。ところが十数年前、日清製粉工場が館林に出来て、一般の小麦を買い集めて二等粉に製した。すると片原饅頭もこの二等粉を用いるようになった。