Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

どげしたじゃろか?」

「可哀そうに、原田雲井はまた落選たい。中村勉も、むつかしいわい」

街は、下馬評で湧き立つ。

開票場である公会堂は、坩堝のたぎる喧噪に包まれている。二階の講堂の中央で、一票ずつ開かれ、読みあげられているが、そのたびに、拍手や喊声がおこる。赤煉瓦づくりの公会堂のまわりには、数十の机がそれぞれの位置に据えられ、得票の知らせを待っている。二階の窓から、針金が斜に机のところまで掛けわたしてあって、票の出るたび、その候補者の開票立会人が、紙挟みに票数を書いた紙をくくりつけ、スルスルと、下におろす。

「そら、三票じゃ。飛べ」

その声で、勇ましい伝令が、選挙事務所まで、全速力で、自転車を走らせる。

「形勢は、どぎゃんですか」

政友会の機関紙「九州民報」の記者、高野貞三が、「玉井金五郎」と張りだしのしてある机のところへ、寄って来てのぞきこんだ。三十歳くらい、色の浅黒い、額の生え際が、洞海湾のように、頭部の中央に食いこんでいる、眼のぎょろぎょろした熊本弁まるだしの男である。

「どうも、変ですよ」

玉井組一号のボーシン、中山弥志馬が、仏頂面で答える。精悍な顔の労働者である。