Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
「ここは、どこだね?」
と、きいた。
「お目ざめになったのね。「丸金」よ」
「「丸金」?」
あらためて、勝則は、部屋中を見まわした。仰向けに寝たまま眺めたので、部屋の感じがちがって見えたのであるが、いつも来なれた「丸金」の離れの四畳半にちがいなかった。三ヶ月ほど前、光丸と逢い、別れる決心をした、あの部屋だ。
(どうして、こんなところに来たのか?)
勝則は、気味が悪くなった。
気がつくと、自分は祭衣裳のまま、畳のうえに転がっている。まだ、白い鉢巻もしめている。
着物は喧嘩のとき、引き裂かれ、泥だらけになったが、そのむざんな着物を、さらに、だらしなく、はだけている。枕元に、洗面器と水とが置いてあるのは、嘔いたものらしい。身体に静かな風が当るので、妙に思って見ると、光丸が団扇を持って、あおいでいるのだった。
光丸は、大きな葡萄の葉と実のついた浴衣を着て、勝則の腹のあたりに、きちんと坐っている。頭は洗い髪にしていた。うす明かりのなかに、顔は青ざめて、やつれて見えたが、ほつれ毛のかかっているその美しい顔には、いいようもない、晴れ晴れとしたものが、隠しようもなく、浮かび出ていた。