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Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

その甘酸っぱい感傷は、えたいの知れぬ恍惚感さえみちびきだして、二人をいやが上にも熱しさせた。

障子は次第に白さを増して来た。雀の囀りが夏の朝の空気に、針をさすようだ。

数日後、勝則は、料亭「竹の家」を訪れた。熟考の果て、勇を鼓してであることはいうまでもない。敵前上陸のような気持だった。

茶の間に、案内された。

長火鉢の向こうに、辻木惣八が坐っている。色の黒い、皺の深い、普段から気むずかしげな顔は、さらに、不機嫌に歪んでいる。真鍮の鉈豆煙管で、煙草を吸うのにも、いらだたしげに、それをはげしく火鉢にたたきつけて、火を落す動作にも、内心の憤りが、掩いがたく、露出していた。

辻木夫人は、惣八よりも一廻り大柄だ。女角力取りのような身体を、夫のかたわらに置いて、かしこまっている勝則を、憎々しげに見下だしている。

隣室に、要之介がいて、この場のなりゆきをうかがっている気配が、明瞭だった。

和服姿の勝則は、正坐した膝に両手をのせて、静かに頭を下げた。

「光丸を、わたしに、下さいませんでしょうか」

「そんなことは出来んよ。あれは、ちゃんと、うちの息子の嫁に定めてあるとじゃけん」