Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme

Aozora Bunko

「すみません」

「いいえ、ねえさんの罪じゃありませんわ。兄さんが、甲斐性なしだから……」

井戸端の花崗岩に腰をおろすと、マンは、ふところから、煙草入れをとりだした。放心したような顔つきで、キザミを煙管につめ、マッチで火をつけた。一服、吸って、

「ああ、おいしい」

と、思わず、呟いた。

「のみぶりの、ええこと」

「まあ、ねえさん」

はにかみながら、マンが、二服目をつめようとしていると、路地の奥に、下駄の音が聞えた。

赤い顔をした、着流しの玉井金五郎が、折詰をぶらさげて、近づいて来た。

マンは、狼狽したが煙草をかくす間がなかった。(かまうものか)と、不貞腐れた。二服目をつめた煙管を、口にくわえて、マッチをすろうとした。

「待ちなさい。待ちなさい」

傍に来た金五郎が、軸木を持ったマンの右手を、おさえた。折詰を、井桁に置いて、

「わたしが、火をつけて進ぜる」

にこにこと、笑いながら、腹巻をさぐって、妙なものを取りだした。

一寸五分と一寸ほどの、平べたい矩形の、金属製の小箱である。銀色に光っているが、それはメッキらしい。どこに仕掛けがあるのか親指でイボを押すと、パチッと蓋があいた。