Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
物が朦朧と大きく見える。
「きみ、きみ」
と照彦様がたちどまった。
「はあ?」
と正三君も足がすくんだ。
「あれはなんだろう?」
「さあ」
「動いているぞ」
「杉の木ですよ」
「ああ、そうか。なんだ。きみ、歌を歌いながらゆこう」
と照彦様が発起した。しかし長くは続かなかった。
「なんだろう?」
「音がしましたね」
「あ、またした。風だ」
「そうです。大和魂をおこしましょう」
「魂はこんな晩に飛んで歩くそうだぜ」
「いやですよ、そんなことをおっしゃっちゃ」
坂道にかかってからは提燈が見えたので少し元気が出た。まもなくおいなりさまへたどりついた。二人はそこに用意してあった筆をとって姓名をしたためた。花岡照彦は画が多いから損だった。内藤正三は少しとくだった。しかしどっちも手がふるえていた。用がすんでしまうと急に怖くなった。坂道が一番さびしい。風のくるたびに薮がガサガサする。下りきった時、その薮の中で、
「ハクション」
と虎の杉山がくしゃみをした。二人はボールのようにはねあがった。それから畑の中をいちもくさんに走って帰ってきた。
「しまった」
と照彦様がいった。
「どうなさいました?」