Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
若様の頭
「できたてでございますな」
「そうだ」
「とんだことでございました」
「いや、これはかえってお薬になるこぶだ、お母様がそうおっしゃった」
と照彦様はもうすっかりご機嫌が直っていた。
若様の頭
翌日から学校がはじまって、正三君はイヨイヨ本式に照彦様のお学友をつとめることになった。その朝、照彦様は制服を着ながら、
「きみ、校長はこわいぜ。担任もナカナカきびしい。けれども秋山って先生がいる。やっぱり家の家来だ」
といった。
「なんの先生ですか?」
「英語だよ。僕たちの級へ出る。こまることがあったら、秋山さんにいえばいい」
「おやしきへもいらっしゃいますか?」
「僕がはいってから時々来る。安斉さんから頼んであるんだもの」
「それじゃなまけるとすぐにしれてしまいますね」
「うむ。僕に六十点しかくれない。家来のくせにして失敬だよ」
「…………」
「お兄様がたの方の家来はみんな点が安い。頭の悪いものは家来の先生の多い学校へゆく方が得だよ」
「そんなこともないでしょう」
「きみ、その制服は似合うよ」
「そうですか」
と正三君も新調の制服に身をかためた。
学校まで電車で三十分ばかりかかる。正三君は初めての方角だから、いっさい照彦様の指導にまかせた。