Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
王様、王様」
と安斉先生は王という字を指でしきりに空中へ書いた。
「日本ですか? 西洋ですか?」
と照彦様は手がかりを求めた。
「日本は皇国でございますぞ。王様といえば、支那か西洋に相場がきまっています」
「昔の王様でございますか?」
「いや、昨今の王様で、西洋生まれです。まだお年がごくお若い」
「先生、私たちは一年生ですから、西洋歴史を習っておりません」
と正三君はもてあました。
「歴史に関係ありません。あなたがたはよくご存じの筈ですよ。日本にもきています」
「日本に?」
「はあ」
「わかりませんなあ」
「先生、僕も降参です」
と二人は兜をぬいだ。
「それでは申しあげましょう」
「どうぞ」
「ラジ王ですよ」
「はあ?」
「ラジオ、即ちラジ王です」
「なるほど」
「その声天地にあまねく……」と安斉先生は得意だった。
「先生、これは実にうまいです」
「ハッハハハハ」
「僕、頂戴いたします」
「さしあげましょう」
「ありがとうございました。お兄様がたをびっくりさせてあげます」
と照彦様は大喜びをした。
二人はまもなく安斉先生の面前を辞して、矢島さん有本さん黒須さんと順次に廻礼をすました。これは皆名刺の配達だった。