Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
「あれはお庭の路がよくわからなかったからです」
「後から苦情をつけるのはずるい。それじゃ、ここで相撲を取ろう」
「めいわくですよ」
と妙子様はおどろいて制した。しかし照彦様はもうききわけがない。
「そら!」
といって、坐っている正三君を仰向けさまにつっころばした。
「卑怯よ、照彦さん」
と妙子様がたしなめた。
「内藤、立て!」
「だめですよ」
「さあ、かかってこい」
「かないませんよ」
と正三君は逃げ出そうとした。
「内藤さん、おやりなさいよ、負けていると癖になります」
と妙子様が見るに見かねておっしゃったせつな、照彦様はもう組みついてきた。正三君もいまは仕方がない。
照彦様は相撲なら十三から十五までの子にけっして負けないという確信があった。なんとなれば、伯爵邸の門内には家令の富田さんはじめ旧藩士が大ぜい住んでいて、その子供たちが時おりお相手をおおせつかる。この連中は親からいいふくめられているから、ご三男様を負かしたことがない。ずいぶんきわどいところまでやるが、最後にはやッとさけんでひっくりかえる。それを照彦様は自分が強いのだと思っていた。さて、組みつかれた正三君も相撲は得意でない。