Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme

Aozora Bunko

「ええ」

「いばったものね。ご家来ではおまえだけでしょう?」

「ええ」

と正三君はとくいだった。

「時たまお殿様からおことばのかかることがあって?」

「始終ですよ」

「まあ! どんなことをおっしゃるの?」

「その時によります」

「それはそうだろうね、いくらお殿様でも毎日同じことはおっしゃるまいから。お食事の時、お殿様とはどれくらいはなれて坐るの?」

「一間ぐらいのものです」

「まあ、そんなにお近いの? そうして奥様は?」

「奥様はちょうどお母さんのところです。けれどもお給仕なんかなさいません」

「それはあたりまえですわ。オホホホホ。お給仕はお小間使い?」

「ええ」

「むろん西洋料理でしょうが、どんなご馳走がありますの?」

「お母さん、そんなばかなことをきくものじゃありませんよ」

とお兄さんの祐助君がむずかしい顔をした。

「でも、参考のためですよ」

「僕にはわからないご馳走ばかりです」

と正三君も食物に重きをおいていない。

「正ちゃん、お姫様からじきじきおことばのさがることがあって?」

と貴子姉さんが横取りをした。

「ええ、お部屋へ遊びにあがることもあります。そうそう。姉さんがたのことをおききになりましたよ」