Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
すると安斉先生は『陸地でも自分の家かおやしきでないと小用の出ない性分ですから、もう失敬します。さよなら』と、いって、後も見ないで帰っていってしまった」
「おやおや」
「強情な老人だって、富田さんも笑っていた。舟に酔ったというのがくやしいものだから、小用が出ないことにしたのさ」
「やっぱり知恵があります。またおさそいしてみましょうか?」
と正三君はなるべく舟によわい人が道づれにほしかった。
そこへ家令の富田老人が廊下を通りかかったので、
「富田さん」
と照彦様が呼びとめた。
「はあ」
「今度の日曜はほんとうでしょうね?」
「お天気さえよければ大丈夫です。安斉先生からお殿様へ申しあげて、もうおゆるしが出た時分です」
「お兄様がたは?」
「お馬だそうです」
「ありがたい。僕が大将でゆける」
「富田さん、安斉先生もおさそいいたしましょうか?」
と正三君がきいた。
「そうですね。ヘッヘヘヘ」
と富田さんは照彦様と顔を見あわせて意味ありげに笑った。例の陸地の件を思い出したのだろう。
まもなく照彦様は、
「内藤君、学監室へいってみよう」
と発起した。
「何ご用ですか?」
「お父様からお許しが出たかどうかうかがってみる。