Japanische Klassiker mit Furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme
そして或る朝、「ちょいとお前に話がある」と要が彼女を洋館の階下の部屋へ呼んだのは、それから半年ばかりも過ぎた時分だったであろうか。テーブルの上の水盤に支那水仙が活けてあって、電気ストーヴにあたっていたのを覚えているから、何でも冬の、美しく晴れた日のことだった。その前の晩もやはり夜通し泣きつづけて、彼女も要もほとんど寝られなかったので、さし向いになった夫婦は孰方も脹れぼったい眼をしていた。実は要はゆうべのうちにも口を切ろうかと思ったのだが、弘が眼をさます心配もあり、暗い場所だとそれでなくても涙を用意している妻が一層感傷的になりそうなので、わざとさわやかな朝の時間を選んだのであった。「このあいだから考えていたんだがお前に少し相談があるんだ」と、彼が出来るだけ軽快な、ピクニックにでも誘うような気楽な口調で切り出したとき、「あたしもあなたに相談したいことがあるのよ」と、鸚鵡返しに美佐子もそう云って、睡眠不足の眼のふちで微笑しながら煖炉の前へ椅子を寄せた。そして互にその胸の中を打ち明けてみると、二人は大体同じような経過を辿って同じような結論に達していた。とても自分たちは相愛し合うことは出来ない、互の美点は認めているし、性格も理解しているのだから、これから十年二十年を過ぎ、老境にでも入ったらば或は肌が合うようになる