Japanische Klassiker mit Furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme
その七
僕みたいな貧乏人にはとてもそんな時間はないよ」
「だって、高夏さんは成金だって云う話じゃないの?」
「ところが折角儲けたと思ったら、又損をしちゃった」
「どうして?」
「ドルの相場で」
「そう、そう、百八十ドルはいくらになるんだい? 忘れないうちに払って置こうか」
「いいんでしょう? これはお土産なんでしょう?」
「馬鹿云っちゃいけない! そんな高いお土産があるもんか。これは抑も頼まれて買って来たんですよ」
「じゃあ、あたしのお土産は? 高夏さん」
「や、そいつをすっかり忘れていたっけ。ちょっと彼方へ見に来ませんか。どれでもあの中で好いのを上げます」
二人は高夏の部屋に充てられた洋館の二階へ上った。
その七
「まあ、臭い!」
部屋へ這入ると、美佐子はばたばたと袂でその辺の空気をハタいた。そしてその袖で顔をおさえて急いであるだけの窓を開いた。
「臭いわ、ほんとうに、高夏さんは。―――今でもあれを召し上るの?」
「ええ、たべますよ。その代り始終この通り上等の葉巻を吸っているんだ」
「葉巻の匂いがごっちゃになってるからなお変なんだわ。まあ、ほんとうに、部屋じゅうに籠っちまって、何ていう臭さだろう。