Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たでくうむし

蓼喰う虫

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme

Aozora Bunko

その十二

が始まったのは十時過ぎだったが、それから間もなく見物席でえらい騒ぎが持ち上った。紺の詰め襟の服を着て五六人の仲間と一緒に車坐になって飲んでいた土方の親分風の男が、いきなり土間に立ち上って桟敷の客に「さあ来い」と云いながら喧嘩を買って出たのである。なんでもその前から、見物席が大阪の太夫ということに反感を持つらしい土地ッ児と、そうでないものとの二派に分れて弥次を飛ばしながら、大分おだやかでない形勢になっていたところへ、一方の桟敷から誰かが何か云ったのがその親分の癪に触ったものだと見える。「さあ、野郎、出て来い」と今にも桟敷へ飛びかかろうとする剣幕に、「まあまあ」といって仲間の者が一度にみんな立ち上ってその男をおさえつける。男はますます威丈高に、仁王立ちになって怒号しつづける。外の見物があの男をどうかしろと騒ぎ出す。おかげで折角の真打ちの語り物がとうとう滅茶々々にされてしまった。

その十二

「じゃあ要さん、行って来るからね」

「御きげんよろしゅう。まあ、まあ、ほんとに、お天気のつづくのが何よりです。………お久さんも日に焼けないようにして、………」

「ふ、ふ」

と、笠の内で茄子歯が笑って、