Japanische Klassiker mit Furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme
その十四
デハ左様ナラ。当分オ目ニ懸リマセンガ、イズレアナタガ新夫人トナラレタ暁ニ改メテ拝顔ノ機会ノアルコトヲ望ミマス。
五月二十七日
高夏秀夫
斯波美佐子様
侍女
高夏としては珍しく長い手紙であった。要はそれを読んでしまうと、人気のない部屋で心に油断があったせいか、知らず識らず涙が頬を濡らしていた。
その十四
きょうはお客がお客なので床の間に活けた姫百合の花の向きを気にしながら、お久は今朝からときどきそれを直していたが、四時が少し廻った時分に門の青葉をくぐって来るパラソルの影を、二た間を隔てた伊予すだれの此方から眼に留めると、そのまま立って縁側を降りた。
「見えたかえ」
と、昼寝のあとを庭で蓑虫を退治していた老人は、うしろに庭下駄の音を聞きつけて云った。
「へえ、お越しになりました」
「美佐子も一緒か」
「そうらしおす」
「よし、よし、お前は茶を入れな」
そう云い捨てて飛び石づたいに枝折戸から表へ廻ると、
「やあ」
と、気軽に声をかけた。
「さあ、まあ、お上り。暑かっただろう、さぞ、………」
「ええ、朝のうちに出ればよかったんですが、ちょうど日中になってしまって、………」
「そうだろうとも、たまに天気になったと思うと、まるで今日あたりは土用のようだ。