Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme
お久も事のあらましは聞いているのに違いなかろうが、例のおっとりと、音も立てずに運ぶものを運んでしまうと、何処へ行ったのか、すだれ越しに透かされる部屋と云う部屋には姿も見えない。
「ところで今日は、泊まって行ってもいいんだろうね」
「ええ、………どうともきめずに来たんですけれど。………」
要は始めて妻の方へ眼を向けたが、妻はその言葉を撥ね返す如くに云った。
「あたし帰るわ、早く話して下さらなくって?」
「美佐子、お前は彼方へ行っておいで」
しずかな部屋に、ぽんと吐月峰の音が鳴った。そして老人が二服目の刻みを詰めて、雁首の臀で煙草盆の火をさぐっているあいだに、美佐子は黙って席を外して、二階の梯子段を上って行った。下でお久と顔を合わすのが厭だったのである。
「困ったことになりましたね、どうも、………」
「御心配をかけて相済みません。実は今までは、こう云う事にならないでも或は済むかと思っておりましたもんですから、………」
「今になっては済まないんですか」
「ええ、大体手紙で申し上げたような訳なんです。………勿論あれだけではお分りにならないところもあろうかと存じますけれど、………」