Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九) 全十冊
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九) 全十冊 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.029 Zeichen · 82 Bildschirme
三
「ヘエ――」
八五郎の長談義も、結局急所急所が外れていたため、もういちど、螢沢へ行って確かめて来るほかはなかったのです。
三
その翌る日の夕方から、平次はまた五合ばかり用意して、八五郎の報告を待ちました。この江戸の片ほとり、千駄木と日暮里の間の、低湿な藪地と、起伏の多い畑地の間の、二軒家に起った、病弱な倅の自殺事件は、ひどく平次の好奇心を刺戟した様子です。
八五郎が来たのは、もう暗くなってから。お静はお勝手で何やらやっておりますが、平次は、手伝い心に雨戸をしめたり、二三度舌打ちをしたり、銅壺のお湯の加減を見たり、さんざん待ちくたびれた頃。
「いや、馬鹿な目に逢って遅くなりましたよ、親分」
などと八五郎が、荷物を積み過ぎた駄馬のような鼻息で、一陣の風とともに戻って来ました。
その一陣の風が、少しばかりアルコール臭かったのを、平次は気がつかないはずもありません。
「馬鹿な目というのは、酒倉の番人でもさせられたのか」
「皮肉を言っちゃいけません。螢沢の朝倉屋の寮の方は、たった四半刻(三十分)で調べが済みましたが、池の端まで帰って来ると、湯島の吉の野郎に逢って、久振りだから一杯つき合いねえと――」