Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九) 全十冊
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九) 全十冊 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.029 Zeichen · 82 Bildschirme
内儀お安の死顔には、明かに苦悩の色を留めておりますが、それは若くて死ぬ人にあり勝の病苦の跡で、仏作った顔は四十そこそこの、極めて無事な相好でした。
口中にも、眼瞼にも、喉にも、胸にも、なんの変化もなく、なお念入りに見た耳の穴にも、水月にも、変死らしい様子は少しもありません。
「どうだ平次」
近藤常平は後ろから差覗いておりました。
「少しも」
平次は首を振りました。
「それで良し、葬いを出しても仔細はあるまい」
近藤常平に取っては、医者の検屍の上に、銭形平次の意見が必要だったのでしょう。それが済むと平次は、八五郎の眼に誘われて、裏の方に廻ってみました。
「お半に逢ってみましょう。主人はあのとおり弱気で、自分の思ったことも言えない人ですが、息子や奉公人たちがうるさくて、内儀の葬い騒ぎにも、あの女だけは母屋へ足踏みもさせないのですよ」
八五郎はそう囁やくのです。
土蔵の蔭へ廻ると、もと隠居家に使ったという三間四方ほどの小さい離屋があって、半分開けたままの障子の隙間から、中の様子はよく見えます。
「…………」
八五郎は黙って指しました。それはささやかな仏壇の前に、キチンと坐って、一心不乱に読経している、輪袈裟を掛けた切髪の女の後ろ姿ではありませんか。