Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
あの人は武家の出だそうで、腕も出来ておりましたし、掛け合い事も鮮やかでございました」
「それっきりか」
「いえ、それから御ひいきを頂いておりますと、その年の暮急に半兵衛さんが、お栄が欲しいというお話で――」
その時のことを思い出したらしく、五郎八の表情には、妙に割りきれない苦渋さがあります。
「それでお栄をやったのか」
「ヘエ、断りようはございません。命を助けてくれた義理がある上、半兵衛さんは言い出したら一寸も退きません。それに腕が出来てると来ては、みすみす一座の花形を持って行かれるとわかっても、私どもではどうしようもありません」
「半兵衛はお栄を姪ということにしてあったな」
「年が違い過ぎるから、世間体は姪ということにしておりましたが、ヘッ、ヘッ、その辺はもう」
五郎八はニヤニヤするのです。この男も恐らくお栄とは唯の仲でなかったのかも知れません。半面大焼傷の女房お六が、五郎八の話の進行とともに、その表情の次第に険悪になって行くのを、平次は見のがすはずもなかったのです。
「そのお栄は何処にいるんだ。お前に見当がつかないことはあるまいが」
「とんでもない親分、あの女は私などのところへ寄りつくものですか」