Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

お銀の宿

夜道の暗さでよくは見えませんが、青い眉を垂れてトボトボと歩く姿は、シットリ夜露にぬれたようで、妙に人の感傷をそそります。

フェミニストの八五郎に、それがわからないわけではありませんが、この女の持つ不思議な魅力から抜け出そうともがく努力が、心にもない荒い言葉を高鳴らせるのかも知れません。

向柳原のとある路地の奥、仕立物などをして、細々と暮している叔母のお浅の家へ、八五郎はたどり着きました。長い間平次の家に居候していた八五郎は、二、三年前十手一本の主になった時、嫁でももらって一家をもつ用意に、一応叔母さんのところに引取られましたが、持って生れたノウテンキで、金もたまらず女も出来ず、だれも嫁の世話をしてくれる者もないままに、相変らず極楽トンボで、江戸中を飛びまわっているのでした。

「叔母さん、今かえったよ」

表の雨戸に、網の目のような隙間の入ったのへ拳を当てると、

「生意気だよ、表戸なんかたたいて。今ごろまで何処を歩いていたんだ」

こういった調子で、中の灯りは動きます。

八五郎の叔母のお浅は五十二、滅法気が強いくせに、涙もろくて優しくて、そして口の悪い婆さんでした。