Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
一万二千両
仁助店の――いわゆる雀の巣のような裏長屋に死骸が運び込まれた時は、八五郎は幾度逃げ出してしまいたい衝動に駆られたことでしょう。四十前後の見る影もなく世帯疲れのした母親と、お雪の外にまだ四人もある小さい妹と弟たちが、無慙な元吉の死体に取りすがって、たしなみも遠慮も忘れて、ワーッと慟哭の大合唱を始めてしまったのです。
「親分、弟が、あんまり可哀想です。こんなむごたらしいことをしたのは、一体だれでしょう」
お雪は八五郎の袖にすがりついてこうかき口説くのでした。
「下手人は大方わかっているよ、心配することはねえ。三日経たねえうちに召捕って、おしおきに上げてやるよ。銭形の親分が心得ているんだ、なア」
ポロポロと涙をこぼしながら、娘の肩を叩いて、恐ろしい安請合いをする八五郎だったのです。
一万二千両
平次と八五郎が顔を合せたのは、その翌る日の朝、明神下の平次の家でした。
「どうした、八。ぼんやりしているじゃないか」
猿屋の揚子を使いながら、平次は井戸端から声を掛けます。
「ぼんやりもしますよ。あんまり癪にさわるから、夜半過ぎまでかぎまわったが、小僧殺しの下手人は見当もつかねエ」