Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
八五郎は家の中へもどると、たった一つの行燈を持出して来ました。幸い風はないので、路地の中や、家のまわりくらいを見る事は、これでも間に合ないことはありません。
「良い図じゃないぜ」
平次はそういいながらも、行燈をブラ下げた八五郎を先に立てて、家のまわりをグルリと一巡りした上、その足を路地の外まで伸ばして見ましたが、怪しい女は愚か、町内の雌犬もそこにはおりません。
「おや、家の中で変な声がするよ」
平次は聴き耳立てました。
「あッ、金太の野郎ですよ。縛られたのをそのままにしてあるんですから」
「それにしちゃ変だよ」
二人はもう一度お勝手へもどりました。
「あッ、親分」
先に入った八五郎は、思わず素っ頓狂な声を張り上げます。
「何うした、八」
続く平次も、一パイに取散らした箪笥の前を見て、思わず唸りました。
ツイ今しがた平次の手で縛られて、柱を背負わされていた覆面の大男が、首筋に自分の匕首を突っ立てられて、紅に染んで断末魔のうめきをあげているではありませんか。
「八、縄を解け。目を落す前に一と言でも訊き度い」
「ヘエ」
八五郎が縄を解く間に、平次はその覆面を取ってやりました。