Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
「市ヶ谷の上屋敷じゃありません。一万両は首尾よく築地の蔵屋敷に送り込まれましたよ」
「それならなおのことだ。あの短かい道中じゃ、孔明、楠でも業のほどこしようがねえ」
「その通りだ、親分」
八五郎は仕方噺になりました。一万両の大金が組屋敷から出て、中ノ橋へ来ると相手の仕掛けで胆を冷し、蔵屋敷裏門に入るとき、海から花火玉を打ち込まれて二度びっくりした話まで、八五郎の話術はなかなかに巧みです。
「それから酒盛りが始まって、市ヶ谷御上屋敷から繰り込んだお女中と、だれが呼んだか知れねえ町芸者とで、蔵屋敷中の者が滅茶苦茶に盛りつぶされた。その上お上屋敷から届けた酒の多かったこと――」
「その酒に眠り薬かしびれ薬が入っていりゃ、手もなく黄表紙の筋だ」
「それなんですよ親分。何が入っていたのか知らないが、蔵屋敷中の者がドロのように酔って、前後不覚に朝まで寝込んでしまった。敷居を枕にする者もあり、蔵の戸前にもたれた者もあり、まるで河岸へ上げた、鮪の荷だ。あれじゃ寝首をかかれたって気のつくものはあるめえ――とこれはあっしが見たんじゃありませんよ。吹けば飛ぶような庭掃きの爺が、疝気で酒が呑めないばかりに物置の蔭に隠れて何も彼も見てしまったんで」