Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
定吉の父親定五郎の妹のお里は、不思議な女の一人でした。眼の下に黒い隈があって、小鼻のやせた淋しい中年者には相違ありませんがよく見ていると、立居振舞いに仇っぽいところがあり、声がしわ枯れて眼がギョロリとして、皮膚の色が青くむくんで、不摂生と病いとで、すっかり青春を荒廃させた、商売人あがりの女の典型的なものに相違なかったのです。
年齢もどうかしたら、まだ三十代かもわかりません。眼鼻立ちも悪くはなく、健康と精神が正常で、若ささえ失わなかったら、これは随分美しい女だったことでしょう。
平次は何にか予想外な気持で、この女の様子を観察しながら、静かに盃をくんでおりました。
「ね、親分。今晩のお栄はバカにしとやかじゃありませんか」
八五郎は囁やきます。正に玉山崩れんとしております。左に捧げた盃が大波を打って、唇に持って行くとなんがい顎が天に朝するのです。
「樽拾いの小僧の姉――何んとかいったな――あの娘より良いが」
平次は少しからかい面になります。
「お雪坊ですよ、忘れちゃいけません――お雪坊の方は唯もう可愛らしいが、お栄は仇っぽくてしおらしくて、色気があって、慎み深そうで、何んかこう――」