Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

「お栄か」

ばかな念を押しながら、八五郎はガラリと障子を開けました。

「あら、八五郎親分」

それを嫣然と迎えるお栄は、たんすのひきだしを開けて何やら捜している真っ最中だったのです。

「御用だぞッ、神妙にしろ」

その瞬間、さすがに職業意識が働くと、八五郎は十手を後ろ構えに、飛びつきそうな格好になりました。

「まア、それは冗談? でも勇ましいワねエ」

お栄は捜し物の手を休めて、振り返り様、にっこりするのです。肩を引いて七三に捻った上半身、豊艶な首筋から頬のあたり鼻筋が匂って、眉が煙って少し受け唇に白い歯のチロリと見える恰好は、この女を一番美しく見せるポーズでした。

「ごまかすな、お栄。お前は半兵衛を殺し、定五郎を殺し、宇八を殺し、お里を殺したろう、太てえ女だ」

「ま、ま、まア、大変ねえ、――私が、そんなに殺したの」

「覚えがあろうが」

「もっとも八五郎親分を眼で殺そうと思ったけれど、こればかりは手に了えなかったのさ。お前さんには綺麗なあやかしがついているんだね、――口惜しいけれど手応えなしさ」

「ふざけるな、神妙にお縄を頂戴せい」

八五郎は飛びつくように、お栄の肩を、白みがきの十手でハタと打ちました。