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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

「お付人のおれに、寝酒ぐらいは飲ませておかねえと何かにつけてためにならねえぞ。囲い者のくせにしやがって、気の利かねえ女もあるものだ。よし、ひとつまたチクリチクリ嫌がらせをいってやらなくっちゃならねえ」

と、隣の部屋からニジリ出して、境の襖を少し開けた。

「お米さんエ」

目玉だけでも脅迫のきくような凄い顔を突き出して、わざとこう伝法口調に、

「今、そこで、何とおっしゃいましたエ」

お米は鏡をよせて、寝白粉をつけていたが、ふりかえりもしないで、

「ゆるすから、お前は先にお寝みというのさ」

ふざけるな! と宅助はムカついて、何か痛い言葉をぶッつけてやろうと、浅黒いうわ唇を舐めあげていると、折悪しく、宿の女中が廻ってきて、夜具の支度をしはじめた。

女中たちの手前、宅助は、喉まで衝きあげた啖呵を飲み殺して、ツイしかたがなく、

「ありがとうございます」

と、お辞儀をしてしまった。そして寝床へ潜りこんでから、

「ちぇッ、いまいましい女だ。ここを出たら、ひとつギュッと手綱を締めなおさなくっちゃいけねえ」と、業を煮やして、寝返りを打つ。

お米の部屋にも、程なく、ふッと行燈を消す息がきこえて、真っ暗になった。